中原昌也展|Masaya Nakahara Exhibition

sprout_img

2019年5月25日—6月23日

2018年夏以来の中原昌也による個展です。新著『パートタイム・デスライフ』の表紙の原画や未発表のドローイング、新作のペインティングを発表します。前回完売した限定アナログ盤は今回は7インチで販売します。

〈開廊〉水–土曜:13時–19時/日曜:13時–17時
オープニングレセプション:5/25(土)18〜20時
〈休廊〉月・火・祝祭日

 

既製品のキャンバスや安物の画材、グロテスクな形象、おなじみのポルノ雑誌のコラージュなど、一見すべての要素が安易な調和を忌避するように描かれる中原昌也の絵画作品を前にして、絵画の技術的な研鑽を積んだアーティストや歴史的意義を重視する批評眼を持った人からすれば、少々鼻白むものであるかもしれません。しかし中原の絵画の魅力は言うまでもなく、そうした教科書的な「絵画道」の外側にあります。

 

 

確かに憎悪や怒り、嘆き、咆哮などは絵画に限らず中原の表現の根源的な要素ではあります。実際作品によっては画面の多くを「闇」が占めているものも少なくありません。しかしそれは反動的で自暴自棄になり、ひしゃげた主体に巣喰う心の闇などではなく、おぞましさと同時におかしみ、寛容さなど人間らしいミネラルに満ちた豊穣な闇なのです。そして時折口笛を吹きながら描き進める中原昌也を端で見ていると、自由でオープンエンドな「虚無の向こう側」へ一緒に突き抜けようと観る者を誘っているのではないか、そんな風に思えてくるのです。