中原昌也|個展 Masaya Nakahara | Solo exhibition
中原昌也|個展
会期:2018年8月9日(木)~31(金)
作家デビュー20周年を迎える中原昌也は、音楽家(a.k.a. 暴力温泉芸者〜Hair Stylistics)、美術作家など、希代の表現者として、ひとつの成熟期を迎えつつあるのかもしれません。
今年2018年は、それをうかがわせるような精力的な活動が記憶に新しいところです。まず1~3月に東京・青山のワタリウム美術館で開催された、故マイク・ケリーの回顧展において、『中原昌也プレゼンツ〜マイク・ケリーに捧ぐ~乱知気紛い』という複合的な関連イベントのオーガナイザーを務め、階下のオン・サンデーズでは小さな個展も開催しました。
資本主義の過剰な物質や情報が醸し出すおぞましさと、それらが時に垣間見せる奇跡的な美しさや可笑しみ。こうした相反する要素を内包する表現は、マイク・ケリーと中原昌也の接続点を改めて再認識させるものでした。
そして続く6月には、東京・北千住に誕生したアートセンターBUoYに於いて、飴屋法水=作・演出による『スワン666』の美術・音楽を担当。12日間に渡った公演を通して、飴屋氏から音楽への演出や指示というものは全く無かったといいます。インプロヴィゼーションでありながら、慎重に場面に当てられた音は、一期一会の音楽体験を鑑賞者に与えました。また舞台美術においても、それまでも制作されてきたコラージュや絵画作品に加え、立体のファウンドオブジェクトにスプレーペイントするなど、スケールの大きなインスタレーションを披露し、美術作家としての新しい境地と今後の可能性を示す機会ともなりました。
スプラウト・キュレーションにおいては、個展としては実に2012年以来となる本展では、新作に加え、限定の12インチ・アナログレコードなどを発表します。映画や、文学、そして言うまでもなく音楽やカルチャーなど、これまで自身の中に蓄積された膨大なアーカイヴが熟成発酵し、作品としてアウトプットされていることを改めて確認する機会となるでしょう。