立花文穂|書体| Fumio Tachibana | shape of my shadow

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立花文穂は1968年広島生まれ。アーティストでありグラフィックデザイナーでもあります。生家が製本業を営んでいたことから、幼少期から身近にあった古い紙や印刷物、そこで目にした文字などを換骨奪胎する作風で内外で高く評価されてきました。

やがてテーマが「身体とカタチ」へ自然に推移していく中、The Massや佐賀町アーカイブ(ともに2016)、ギャラリー360°(2014)の個展、鉄道芸術祭(2017)や大阪・国立国際美術館(2011)のグループ展など精力的に活動してきました。また出版活動においても、自らの20年の集大成『Leaves』や『球体』1〜7号、スプラウト・キュレーション神楽坂で、こけら落としとなった伊勢克也展の際、カウンターに置いていた『家について』や『Foil.vol.3 』も立花文穂の特筆すべき仕事です。

今回の個展はタイトルが〈書体〉。と言ってもフォントではありません。「書く体」。大切に保管され、褪色ではなく発酵と呼ぶべき美しさに経年変化した古紙に、現在の立花さんの境地とも言えるカタチが、墨でシンプルに書かれた作品で構成されます。

スポンテニアスなカタチ(=現在)と紙の経年、そして、作家のこれまでの人生という複数の時間軸が交差する場なのだ。僕自身はそんな見方をしています。

バーゼル・ウィークからお帰りで、審美眼が冴え渡った方にも是非見ていただきたいです。(志賀)